逆境からREDする

 この文章はライプツィヒで書いています。1年に1回、仕事からも日本からも距離を取って、むきなおりをしています。今回の旅を終えるところで、整理できたことをまとめておこうと思います。私自身がこれから何にむきあっていくのか、という話です。

 9月28日、Code for Japan Summitがあり、経産省と取り組んだ仮説検証とアジャイル開発の話をしました。GovTech方面で話すのは私にとっては、ちょっとした越境(away)。Summitで話す機会をいただけたことに感謝です。
 話している途中から「そうか、このプロジェクトは私に次の方向性を与えるきっかけになっていたぞ」と気づいて、そのことも話しました。なお、このプロジェクトはこの話のこと。

 次の方向性、つまり、これからの自分の力の入れ先は、3つ。

1. 国や自治体のDX (digital transformation)
2. 大企業のDX (digital transformation)
3. 地方アトツギの事業開発

 前線広めです。ただ、いずれの文脈にも共通することがあります。それは「再定義(REDesign)」です。ここでいう再定義(RED)とは、「自分たちは何者なのか?」を問い直し、新たな方向性に向けて歩を進めること。特に1から3の立ち位置とは、逆境からのREDということになります。

なぜ、逆境からのREDなのか?

 この数年至るところを駆け回って感じ得たのは、越境の格差です。REDなんて言葉を持ち出さなくても、新たな世界観作りに踏み出し続ける企業もあれば、そもそも「これまでの前提、定義」に身動きを絡み取られた企業や組織もある。その差は相当な開きです。私の立ち位置(新規事業や新規プロダクトの支援)では、この両者に同時期に関われることも少なくありません。その差を強く感じられる位置にあります。
 そして、後者の組織ほどつい数年前までのこの国を支える立ち位置にあった訳です。だからこそ思うのです。逆境にある組織ほど、小さな一歩でも現状から越境できれば大きな結果に繋がりうる、と。

何をするのか?

 実際のところ、既にいくつもプロジェクトを手がけています。

 1の「国や自治体のDX」の可能性こそ、経産省と実施したプロジェクトで気付かされたことです。この方面こそ、アジャイルから相当な距離があるし、今最も必要としている場所だと考えられます。プロジェクトベースで結果を積み上げていくのが必要だと見ています。ただ、私自身はまだまだ繋がりが薄い方面です。引き続き、Code for Japanの皆さんと取り組んでいく所存です。

 2の「大企業のDX」は、私のここ2-3年の主な活動領域になっています。私が言うDXとは「新規事業、新規プロダクト開発を軸とした突破口作り」のことです。正面からDXだと掲げて臨む世界もあるでしょうけども、私自身は現場を巻き込んだ形に賭けています。具体的にどういう作戦になるかはまた改めてまとめたいと思います。なお、青い本でまとめた仮説検証型アジャイル開発はこうした領域での実践を元に磨いてきているもので、この知見を他の領域にもより広げていきたいと考えています。
 一方、より2を進めていくためには、自分だけの力では補いきれないところがあります。そういう学びを得られたのもこの数年の収穫と言えます。まだ詳しく述べる段階ではありませんが、SIerとの協業を模索しています。おいおい形にしたいと考えています。

 最後の3「地方アトツギの事業開発」も、すでに取り組んできていることです。地方企業を支援することに変わりないのですが特にアトツギにフォーカスしていますアトツギとは、長年の家業を継ぎつつ、新事業へと乗り出す(若い)経営者の皆さんのことです。現在、静岡、千葉、鳥取、それから大阪のアトツギ(準備)企業の支援を様々な形で行っています。アトツギコミュニティを形成し、さらにその中で芽吹かせた新サービスの仮説検証、プロダクト作り。あるいはアトツギの事業づくりプログラムの実施など。いくつか取り組みを行っていますが形になるにはもう少し時間がかかるところです。

 大事なのは1も2も3も、進めていくためにはこちらから越境する必要があるということ。踏み込んでみて初めて、お互いに「そんなことができるんだ」「巻き込めるんだ」「やれそうだ」と気付くところがあり。「卵が先か鶏が先か、何となく現状維持」とならないように。好機とは、丁寧なお膳立ての下で生まれるものではなく、混沌とした状況の中で掴み取るもの。

 前線を広げていくことには手応えを感じているものの、ここで挙げたことを一歩一歩進めていくにはまだ糸口も協力者も足りていません。「何かできるかもね」「何かやりたい」と思われた方はtwitterfacebookでもこちらからでも。多種多様な力が必要となる領域ですともに考え、ともにつくっていきましょう。

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