結論から報告すると、2024年6月より三菱電機株式会社でプリンシパル アジャイル エキスパートという役割を頂き、新たなミッションにあたりはじめました。それは、「三菱電機を芯からアジャイルにする」ことです。これは私に課されたミッションを自身で表現し直したものです。
組織を芯からアジャイルにする、この思いは2019年に決意を新たにしてより、変わっていません。何一つ、変わっていないと言って良いです。その思いを元に、ただただその可能性を探索し、適応し続けるのみです。
アジャイル開発に留まらず、組織をアジャイルにしていく。言葉に勢いは感じるが本当のところどうなのか。日本の組織の厚い壁に阻まれて、苦戦しているのではないか。組織を芯からアジャイルにする、という言葉を聴いたらそう思われる方は少なくないはずです。それはそのとおりです。数千、数万人の組織にアジャイルを宿していくという営みに日本はもちろんのこと、世界をみても分かりやすいケースなど存在しません。
実際、この数年はいけどもいけども課題の底が見えず、さながら地下ダンジョンを降りていくが如しでした。物理的な時間の流れは4年程度ですが、仕事に費やす時間はまともな人月ではなく、アクセルを踏み抜きっぱなし。もちろん、そんなムリが長く続けられるはずもありません。この旅路は2028年までと、2020年の出発地点において決めて始めています。
2023年末には足元も覚束なく、骨折を患い、いっときの立ち止まりを得ました。なおさら、これまでのこと、これからのことを考える時間を十分に得て、その上で、至る思いとは。冒頭で結論付けたとおり、
日本の組織を芯からアジャイルにする。
なのです。ケースがいまだないならば、一つでもストーリーをつくることができれば、誰にとってもリファレンスになり得る。日本の組織という視点では、いかんせん目指すものは遠く、私の手元ではもはや完成されたストーリーにはならないかもしれない。それでも、半ばまでストーリーが描くことができるならば、続編は次の誰かが書いてくれるはず。だから、残りの4年、後半戦にかけます。私にとってラスト・ジャーニーになることは間違いありません(むしろ、あと4年も全うできるのかどうか!)。
今回プリンシパル アジャイル エキスパートという立派な役割を頂き、新たな探索と適応の旅に向けて、気持ちが湧き立つ思いです。右手に「正しいものを正しく」、そして左手に「組織を芯からアジャイルにする」。自分の持てるものを、この20余年の自分でもって臨むのみです。そういう全力を尽くせることが年甲斐もなく、楽しくなってきて仕方ありません。
日本の組織を芯からアジャイルにする。ここに臨むにあたっては、私一人が騒ぎたてたところでどうにもなりません。私が力を尽くす先はこれまで通り数多くの業界と組織、現場があります(RED JOURNEY)。これまでの、そしてこれからの同朋たちと、ともに考え、ともにつくるより他、手立てはありません。最後の総力戦に向けて、これを読む皆さんの力をお借りしたい。勝手ながら、ここまで読んでくださった方は、きっと何かの境界に佇み、「越境」を期している。だから。ともに、越えていきましょう。